立山の思い出 室堂平

室堂ターミナルにくると、ここまでの山の時間が少しリセットされます。およそ山に来ているとは思えないような服装の人も多く、立山黒部アルペンルートがどんな人にでもこの自然のすごさを感じてもらえる場所になっていることが理解できます。
さっそく、ターミナルを上って、展望台まで行きます。この階段がけっこうきつい。さすがに、慣れてきたとはいえ、2500メートルはこんなものです。
室堂ターミナルで遭難した人がいるという話を子どもたちに聞かせました。人がごった返すターミナルではどこに行けばよいかわからなくなって違うバスに乗ったり、何がどうなったのかトンネルバスに乗車してしまったりということで行方がわからなくなる人が、たまにいます。それから、ソフトクリームを食べ過ぎて、トイレに駆け込む人とか。笑い話で、あらかじめ起こりうることを伝えておく、そういうことですね。
展望台に出ると奇跡的に晴れ間が広がり出しました。
このときを逃さず、記念撮影です。

山頂が少しだけ見えましたが、この2日間で、この瞬間だけでした。撮影が終わると瞬く間に視界がなくなり、冷たい風に、みんな雨具を羽織り始めました。
玉殿の水を少し飲んでから、立山開山伝説の岩屋に向かいます。室堂山荘の横の雪渓を下りますが、けっこう険しい道で、なかなか明日に向けてのいい練習になります。
室堂山荘前で、ハイマツの中に何か動くもの。ライチョウです。親子連れですね。
ライチョウはとても用心深い鳥で天敵に襲われる危険の少ない荒天の日に活動します。雷の日でも飛んでいるので、雷鳥の名前があるそうです。今日は、視界も少なく、とても寒いので、安心して歩き回っているようです。

ただ、最近の調査では、ライチョウがずいぶん人になれてきたとの報告もあります。*1
立山は何回も行ったことがあるという人でも、案外、この岩屋まで足を伸ばす人は多くはないようです。しかし、ここが立山のルーツ。ぜひ、見ておきたい場所です。切り立った断崖に狭い岩屋が2つあります。佐伯有頼はここで矢が刺さった仏様に見えたのです。そんなこともあるかと思えるような場所で、足下には、称名川の最初の水が静かに流れていました。
狭い場所なので、写真はこんな感じになってしまいました。

ここを、玉殿と呼ぶため、この近くの立山トンネルから湧き出ている水を玉殿の湧水と呼び、ターミナルまで引水しています。今では、玉殿の水がすっかり有名になったので、そっちに本家を奪われたような感じさえありますが、もちろん、ここが開山の地です。
登山道を上り返して、江戸時代に作られた室堂山荘を見学しました。太い柱に、人の名前が刻まれています。昔は、記念と称してそんなこともしていたみたいですね。今では、禁止されているというよりも、そんな記念の残し方があまりいいものでないと多くの人が理解しています。

*1:黒部市の大田保文先生の文にそんなことが書かれていました。一ノ越と雄山の間でもライチョウが登山者の足下を横切っていく例があるようです。