ソーラになりました
今朝はとても冷え込みました。
登校する子どもたちが滑らないようにと、玄関前にも凍結防止剤を散布しました。
こんな日は、いわゆる「ソーラ」になります。表面の雪が冷え込みで固く締まり、まるで空の上でも歩けるように、もぐらず*1に歩くことができます。
さっそく休み時間に走り回っていました。
宮沢賢治の「雪渡り」には、この風景が出てきます。
ちょっと引用します。
雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、空も冷たい滑らかな青い石の板で出来ているらしいのです。
「堅雪かんこ、しみ雪しんこ。」
お日様がまっ白に燃えて百合の匂いを撒きちらし又雪をぎらぎら照らしました。
木なんかみんなザラメを掛けたように霜でぴかぴかしています。
「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」
四郎とかん子とは小さな雪沓(ゆきぐつ)をはいてキックキックキック、野原に出ました。
こんな面白い日が、またとあるでしょうか。いつもは歩けない黍(きび)畑の中でも、すすきで一杯だった野原の上でも、すきな方へどこ迄(まで)でも行けるのです。平らなことはまるで一枚の板です。そしてそれが沢山(たくさん)の小さな小さな鏡のようにキラキラキラキラ光るのです。
「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」
二人は森の近くまで来ました。大きな柏の木は枝も埋(うず)まるくらい立派な透きとおった氷柱(つらら)を下げて重そうに身体を曲げて居(お)りました。
「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。狐の子ぁ、嫁(よめ)いほしい、ほしい。」と二人は森へ向いて高く叫びました。
しばらくしいんとしましたので二人はも一度叫ぼうとして息をのみこんだとき森の中から
「凍み雪しんしん、堅雪かんかん。」と云(い)いながら、キシリキシリ雪をふんで白い狐の子が出て来ました。
同じ雪なのに、いろいろな表現がありますね。
宮沢賢治の描写は、その風景の中で感じ取った情感を実に簡単なことばで表すことから、年齢を問わずに味わえるといわれています。
子どもたちも好きなお話です。
ご家族で読んでみられるといいですね。
例えば、こんな本があります。
- 作者: 宮沢賢治,小林敏也
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*1:子どもたちは、モグルといっていますね。ズボル、ゴボルなどの言い方もあるようです